4章 熊野
蜜月2 軍師としての生き方
勝浦での蜜月イベントは、なんと隠れんぼ。意外なものを持ってきたな〜という感じです。塗籠に隠れて、昔の話をする弁慶さん。何となく話をはぐらかすのは、いつもの事。この人は、核心に触れることはなかなか言いません。それは十六夜でも健在でした。
自分は日常から外れていないか―。本来なら、この世界に、そして戦になど無関係な筈の望美に、軍師は尋ねます。
しかし、ここで彼の口から「奥州」という地名が出ます。でもこの時私は、弁慶さんの十六夜EDまでの過程を推測していませんでした。

6章 梶原邸
蜜月3 終りのその先
恋愛EDの時は6章では京を選択しましたが、十六夜では鎌倉。この辺りから無印での経験を元に(笑)「どうなるんだろー、怖いなー」という状態です。…そうしたら、実はちょっと気抜けしました。御家人の恩賞を通しての「未来」のこと。先を見通すこと。これが蜜月の三段階目。これで満月。…とても穏やかだったね、という印象です。正直、素でタラシ(おっと)な彼のイベントなのに、無印のようなセリフの甘さはどれも抑えた…という意味では意外でした。いや、慣れただけなのかな、こっちが(笑)。…そこで、一段階目から思い出してみると、今回は甘さよりも「生活感」だった?という気がしました。生活感というか、私生活とでも言うのか…。地の朱雀、実は部屋が倉庫。小さい頃は、隠れんぼの経験もなく、奥州で過ごし、そして今は軍師として立っている。一人の男性というよりは、彼の人柄という方に重点が置かれているんだな〜という気持ちです。新鮮といえば新鮮だったかも。

…というのが、最初にプレイしたときの印象です。しかし、リプレイしてみて、その穏やかで生活感のあるイベント中では「自分の進む危うい未来」、奥州への布石が見え隠れしとても重たいという事を示していたんだよな、と気付きました。国の今、そして現実。戦の続く先の重さも、また。望美の世界の事を聞き、興味を示しながらも「行けない」と呟いて…。そして、戦はいつか終る…と。真摯にそれを語り、同時に彼女の心の内を垣間見て、照れ顔(笑)。…しかし、ここで「君も僕でなければ―」というモノローグがありましたが、それはもう望美が自分に好意を持ってると確信してるのですよね…きっと(笑)。

無印では、イベント中にはなかなか望美に対しての好意(恋愛感情)は見えなかったように思いました。イタリア男の社交辞令(笑)といったものは数多ありましたが。それに対して十六夜は、素と申しますか、彼本来の気質―優しさや気遣いが見え隠れしていた気がします。ですから、望美への好意というのは、十六夜がより明確に表れていると感じました。
スチルの表示があるわけでもなく、蜜月は淡々と進んだ印象でした。が、その「淡々」が彼の己の生き様への覚悟を、思わせるのかもしれません。

終章 壇ノ浦
屋島を過ぎ、壇ノ浦へ。明日が最後の戦いという夜。二人きりで話しながら、どちらも自分の持つ好意を直接は口にしません。ただ、戦いは終わる、そして一緒にいられたら―という事だけ。弁慶さんは、無印では「京の荒廃」に対する贖罪で、望美を源氏の神子として戦いに同行させた事には触れませんでした。しかし、今回は彼女に対してそういった思いが有ると言います。そして、元の世界に返す気持ちを新たにします。
清盛と見え、その戦いも意外とあっさり終り。ですが清盛には、お前は修羅場を求めて生きるのだ、と言われます。安穏な生活になど満足しないだろうと…。そして、その次なる修羅場が分かっている彼は、望美を返す。えええ?どういう展開になるのだ?!という思いでした。凄くあっさり、本当にその場でするっと帰ってしまいましたよね。還内府はどうなってるの?とかは無印と同様、スルー(笑)。甥に突っ込まれ、九郎さんにも馬鹿と言われる弁慶さん。苦悩のポーズのまま…。

奥州へ
鎌倉の勝利ではありましたが、九郎さんの立場が危うくなり、奥州へ。…この件がまさか、ナレーションのみになるとは思いませんでした。確かに、プレイヤーキャラが居ない世界を、もたもたやっていてもよくはないかもしれないし、他のキャラルートで見られるのですが…。清盛との戦いもそうですが、彼のルートは案外するする進んだ印象です。無印でこってりやった印象なので、今回はそれよりも彼の心中に重きを置いたという事でしょうか。

最終戦〜エンディングヘ
九郎さんを先に逃がし、史実の如く矢を受ける弁慶さん。ああ、CMで人を真っ暗にさせたセリフは、ここのものなのね…と思いつつ口では「えーちょっと待ってよ!貴方また一人で死んじゃうの?!」と喚きながら泣いてました。ああ忙しい(笑)。すると…うわ!望美ちゃん再登場。やはり、逆鱗は便利なものらしい。明確に助かったと分からないまま、ちょっと不安でしたがスタッフロールへ。ああ、助かったんだよね、今回は死にネタじゃなかったんだ…と安堵。スチルでは、現代に来てもフードを被っている彼が可愛いです。…瀕死のままこっちへ来たのかな(汗)病院とか行ったんだよね…?と突っ込みもしましたが(笑)。



世界から個へ
十六夜の弁慶さんは、無印よりも柔らかな人になっていた気がします。無印はとにかく切羽詰まって、世界に自分を献じているような印象でした。でも今回は神子の幸せを願い、己の生き様を時に振り返り、そして見据える「個」を描いていたように思えました。蜜月イベントがそうだったように、彼を身近に感じる「生活感」のあるゲームでした。どんな未来を築くのでしょう、二人で。ずっと幸せにする、という彼。今迄生きてきた戦場とは違う世界で、安穏などそぐわないと言われた彼は…。

個という印象を受けたゲームでしたから、彼個人としての新しい未来として、こっちの世界EDなのでしょうね(単に無印と変える為でもありましょうが)。私自身は、無印の切羽詰まってた弁慶さんの印象が余りにも強く、十六夜は割とあー、そうなんだぁという感じです。ですが、彼が「覚悟の人」というのは変らないと思います。戦で世界が荒廃するのを憂い、それを止めるために自分がどうしたらいいか、何が出来るのか。その目的の為なら何でもという、覚悟。これが揺らいでいないので、弁慶さんというキャラは変らないなと思いました。


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