5.旅の終わりに


鎌倉駅から17時40分発の横須賀線で帰路に着きました。
流石ハイシーズンで、結構車内には人がいました。しかし、去年と違って15両編成。これでかなり混雑が緩和されたのでは、と思います。写真は車窓から見た大船の観音様。大船駅までは相席でカメラを構えるのが憚られました。車窓には雨粒が付き、また自分も疲れたらしく視界はぼやけ気味。一日を反芻しつつ浅い眠りに就きました。
この日はそこそこお天気にも恵まれ、観光には良い日だったと思います。特に、明月院では時間が早めだったこともあり、花をじっくり見られました。…人が多いと何だか急かされているような気持ちになりませんか…?
しかし、同時に色々と引っ掛かることもありました。
楽しい話ではないのですが、考えさせられる事なので書かせて頂きます。

2箇所で、いずれも撮影に当り通行に支障…とまではいかないのですが、待ちをくらってしまいました。ハイシーズンに狭いところで、しかも開場してからそんな事せんでも…。レポート系の、人が入ってもカメラを回せるものではなかったようで、人が溜まってしまうのです。これには参りました。
それと「撮影禁止」の境内で撮る人。極楽寺さんはその旨ちゃんと札が立っているのですが…。
またあるお寺さんでは、お参りよりもカメラアングルを決めたいのか延々と本堂の前を陣取る方達も見ました。
6月に入ってから、ハイシーズン前ということもあってか鎌倉関連のサイト様が、撮影マナーの低下に苦言を呈されていました。それを読んでいましたので、正直さもありなん…な気持ちでした。「拝観」という事の意味はどこに行ってしまったのでしょう。
また、歩いている際にお賑やかな女性グループがいらっしゃいました。その時、地元住まいの方が「折角ここまで来ているのに、切り通しの静けさも味わわないなんて」と嘆かれているのを耳にしてしまいました。

楽しみ方は確かに十人十色ですが、どうもそれが周りに波及したらどうなるか…という事を考えます。確かに自分は一人旅なので、それで騒いでいたら只の変な人ですから妄想も煩悩もココロの中ですが…。楽しさや高揚感に手綱を付けるのは困難です。そして、万人の満足する観光や環境はありません。
ですので、ある程度は勿論受け容れられますが禁止事項を破る、聖域や住宅地で騒ぐのは論外です。訪問する側のマナーが一層問われることとなります。拝観や撮影が禁止されてしまうことがないよう、気をつけなければいけないと実感します。

この日もそこかしこで遠足に遭遇しました。道を教えると、丁寧にお礼を言い歩いて行った子供たち。あちこちでその子供たちを待つ先生。ツアー観光の団体さん…と、6月の鎌倉は賑やかでした。

…そんなこんなでアタマがちょっとグラグラした今回の旅。更には私のせっかちな面が多大に出て、微妙に最後の締めが甘くなってウロウロしたり。よくよく考えれば高徳院(大仏様)さんには間に合ったのに…。このどことなくしっくり来ない気持ちが、2週間後のリトライを決行させる事となります。
私自身はそんな有様ですが、所謂「名所」以外でも街中に咲く紫陽花は綺麗でした。この文章の一番上の花は、江ノ電の由比ヶ浜駅のものです。そして紫陽花以外のお花も綺麗。更地に咲く向日葵を見たときは、もう咲いている!と驚いたり。深い紫色のテッセンや紫露草は、とても好きな色合いで眼福。

殊に、あちこちで去年より夏椿が多く見られたのが嬉しかったです。望美ちゃんの象徴物として見ながら、とても好きな花になりました。
そして、私は自宅の樹(その1の一番上写真)が夏椿ではなく「姫沙羅」だと漸く気付くに至りました…(平伏)。花弁の形が違うだろう!(滝汗)
同じ「日付」であっても、花の咲きは年ごとにこんなに違うという事も実感しました。

色々思うことはあるけれど、花は美しく街並は人の往来の中しんと佇む…。
まずは、それを愛でられたことに感謝する日でありました。


    

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