4. 旅の終わりに
夕陽は雲間に沈み、辺りは薄暮の独特な雰囲気に包まれます。
景望ネタをあれこれ巡らしつつ(笑)、浜を後にして江ノ電の駅へ向かいます。帰路は弁天橋ではなく、浜沿いの片瀬橋を渡ります。乗車して、寄れたら御霊神社へ…と思いましたが、極楽寺辺りで陽はとっぷりと暮れ…真っ暗(汗)。そのまま鎌倉駅に入ります。そして、いつものようにJRのホームへ。17時59分の千葉行きに乗って帰路に着きました。
この旅行、シュラバ明けの解放感と、9月の旅行記の制作に頓挫した為の気分転換…そんな経緯での決行となりました。コースの設定は前述したような理由で。しかし、更にこの前月に聞いてしまった、景時さんのキャラソン「心よ最果ての氷原に」が引っ掛かっていたりします。あの曲とCDドラマが、アタマを回っていました。それが発端となって、オフイベントでの新刊もそういった方向の本になり、イベントが終わっても、それは染みついています。そんな状態でしたから、鎌倉で野紺菊が見られたらいいな、というお目出度いアタマだったのです。これまでにない、煩悩複合搭載の旅行でした。実際、野紺菊には出会えませんで―ですが、小菊には幾つか。他にも様々な花に見え、去年果たせなかった分はクリアかと。
この日は、平日にも関わらず結構な人出。遠足は今頃としても、一般はハイシーズンでもないのに…と考えていたら、江ノ電の駅に貼られたポスターを見て、漸くドラマの影響かと思い至りました。鎌倉が舞台と聞きつつ、テレビはあまり見ないので、その作品も見ず・録らずですが。後日同僚から「浄明寺さんが映ってたよ」と聞き、近辺の報国寺さんの人の多さにも何となく納得。バスもあそこで大分降りる人が居ましたし。これは暫く影響が出そうですね。旅関連のコーナーでも、鎌倉が紹介されることが多いですし。
えのすいは、鎌倉から遠くない―寧ろ隣接する場―ですのに、今の技術が目一杯使われた施設です。古都から、江ノ電というどこか懐かしい電車で数分。大仰だとは思いますが、タイムマシンに乗ったかのような気持ちでした。山側の社寺を回って、そこから海側の現代施設へ行ったということもあるかもしれません。背景の景色が全く違うというのも、そんな不思議な感覚をもたらす一因だったかと思います。
えのすいは藤沢市になりますが、この不思議さも「鎌倉旅行」の醍醐味の一つかなと感じました。…もう少し近ければ、えのすいの年間パスポートを買ってしまったに相違ありません(笑)。1日居られそうです。
午後から雲が出て、海への日没は見られませんでしたが、雲や空の色の美しさを堪能しました。空は一層高くなり、風は冷たく…季節は冬に向かっています。煩悩を搭載したこの心身を浜風に晒して…自戒になるのか、ならぬのか(苦笑)。いや、この時にネタをあーでもないこーでもない、とアタマの隅に巡らしているのですから、やっぱり只の罰当たりですね(笑)。
1年や半年そこを通らずにいたら、もう無かったお店や家。確かに、街並は人や時間とともに変化するもの。今回の旅は、花や季節の美しさとともに、流れる時間というものの不思議さを改めて感じる旅になりました。