5.旅の終わりに
七里ヶ浜駅から、江ノ電で鎌倉へ。
流石に2月、日が段々と長くなってきても日没後は冷えます。
とっぷりと暗くなった駅ホームで、待つこと10分ちょっと。次の電車までのこの15分という間隔で、混んでしまうのよね…と1本逃した自分にダメ出し。18時15分発の成田空港行き電車では無事に座れ、帰途に就きました。
お土産は、お馴染「権五郎力餅」。
お店に入った途端、心中で狂喜。草餅(好きなんです)になってましたよ!16個入りをゲット。「本日中ですが、よろしいですか?」と念を押されました。お餅の柔らかさが損なわれない内に、とのことでお餅は当日、求肥は製造日を含め3日間が賞味期限。「大丈夫です!」…無事、16個はその日のうちに家族全員のお腹に。
1月には行ったことのある鎌倉ですが、最初に書きました通り梅の頃は初めてです。が、生憎と満開には早かったです。しかし、それでも咲いている花に心が解されました。白の他、紅梅もピンクから緋色のようなものまで、楽しめました。勿論、煩悩を滾らせていたことは、文中の通りでございます(笑)。
また、春を予感させる花にも沢山出会えて幸せです。この福寿草は浄明寺さんのものですが、大巧寺さんでも見られました。蒲公英も見ました。花の美麗さと共に、水仙や沈丁花の香りにも酔いました。清々しく、高雅。晴天にも恵まれ、日中は思いのほか寒くなく暖色の花に一層来る春を思いました。
ここ暫く嘆いているカメラですが、この日は…宝戒寺さんと常立寺さんで、枝垂れ梅の下に何十分も三脚を立てて動かない人がいました。花のアップを撮ろうとしているのか、枝を分けてレンズ構えていると職業にしろ何にしろ、やっぱりそれはどうよと思ってしまいます。向こうすれば「観光」の人間が撮るものとは違うんだよ、なのでしょうが…。こういう時は、撮影はまだしも三脚や一脚は禁止にしてほしいなぁと思ってしまいます。
でも檀家の皆さんや地元の方からすれば、観光客もカメラマンも邪魔といえば邪魔ですよね。どっちもどっち。マナーに関してはもう無限ループかと思いつつ、忘れてはならないことです。
行くことそのものが、楽しい。初めて行く場所でなくても、いつもわくわくして出掛ける。私にとって鎌倉は、そういう場所になっています。勿論遙か3煩悩を礎としつつ、神社仏閣詣でと花を愛でられるという己の趣味嗜好との一致。それが、今回は自分にとっての一種の救いでした。度々で恐縮ですが、この日の前からずっと色々考え込み、危なっかしい気持ちでありました。海という視野の広さと、数々の悲喜こもごもの歴史を紡いだ地へ行くというのは、煩悩と共にではありますが、己に内省を促すには非常に適していたと思われます。気持ちに劇的な変化というものはありませんが、それでも閉塞を打破する一矢にはなりました。
花は生きていて、それを追って旅をする。行けるときが盛りとは限らないけれど―。でも、会えた時はその時にしかない美しさがある。目の前のものから、どんな美を探し当て、心を動かされるのか。それこそは、己の心眼次第也。
そんなことを考える旅でした。
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